2019年02月12日(月)
こんばんは。
Twitterで13弁護士会の司法試験合格者減員声明が話題になっているので私も少し。
https://www.bengo4.com/other/n_9198/
この件については、弁護士の質と弁護士過剰がよく取り上げられます。
弁護士の質については、合格者数が数百人だった時代の弁護士が
要件事実を全く踏まえていない書面を提出したり
改正された法律を無視した書面を提出したりといった例を見ているので
(どちらも一応現役で活動している弁護士)
質が下がったのか正直私には分かりません。
一方、弁護士過剰については、本当に過剰なのか
もう少し弁護士会も調査しても良いのではないかと何年も前から考えています。
上記は、昨年私が弁護士向けの講演会で使用した資料です。
首都圏の各自治体の弁護士数にかなりの偏在が生じていることがわかります。
弁護士業界では、これまで経営上弁護士一人あたりに必要な人口といった分析が行われてきませんでした。
弁護士の多くは、裁判所の近く、大きな駅の近く、他の弁護士が開業している場所周辺
といった観点で開業地域を選んでいたように思います。
市場分析は、数年前までせいぜいこの10万人規模の自治体に弁護士がいない
特別区でもここは弁護士が少ない
といった程度でしか行われてこなかったのではないでしょうか。
弁護士会が我々から徴収した多額の会費を市場分析に活用し
情報を提供すれば、開業を検討する弁護士の選択肢も増えると思います。
弁護士偏在の問題は、これまで司法サービスの公平な提供という福祉的な視点(不採算前提)で語られてきました。
しかし、これからは経営者的な視点で捉える必要があるでしょう。
まだまだ「弁護士になれば一生安泰」時代の発想が抜け切れていないように思います。
経営努力、業界努力ではなく、政府に保護を求めてしまう。
弁護士過剰論から見た場合、果たして供給を抑制するだけの合理的な理由があるのか私は疑問です。
勿論競争激化によって需要者サイドが不利益を被るという事であれば業界全体にとってもマイナス。
特に弁護士業界は供給サイドと需要サイドの、弁護士情報についての情報格差が激しいです。
費用の相場観や優秀な弁護士の見抜き方についての情報はもっと普及した方が良いでしょう。
今後は(広告サイトではない)比較サイトが出てくるのではないかと思います。
色々課題はありますが、少なくとも私は司法試験合格者を少なくしたからといって
弁護士の質が向上するとは思いません。